Carlosの喰いしごき調査委員会 ![]() 「まったく、日本人っちゃぁ...」と思うことがある。テレビの情報番組に左右されすぎの食品の消費動向である。 種苗会社で流通を担当している後輩と話をしていたら、「テレビの情報番組で、「この野菜(食品)が体に良い」と放送されたら、その次の日には日本中の在庫が無くなるんですよねぇ。それで急いで追加の仕入れをすると大量に売れ残ったりするですよぉ。」とぼやいていた。 また、ちょっと前の農業関係の業界紙に載っていたコラムには「テレビで「ある農産物が体に良い」との放送があると、一時的にはその農産物のブームになるが、それが日本の農業のためにならないことがほとんどである。消費者は農産物そのものではなく「○○抽出エキス」だとか「××成分含有」とかいったいわゆる「健康食品」に群がり、その農産物そのものには見向きもしなくなることが多いからである。」といったような内容が書いてあった。どこかの大学の先生が書かれた記事だったと記憶している。 とかく、日本人は食べ物に関して「何かに効く」という言葉に弱いようだ。私に言わせれば、その季節の旬の野菜・果物、魚・肉を米など穀物とバランスよく食べることが何よりも健康に良いと思うのだが。テレビで「体に良い」と聞けば、日本人はつい買ってしまうようである。 2.さらに上を行く中国人 食べ物の効能に敏感という点では中国人はさらに上を行く人々であろう。「医食同源」の総本山である中国では、何に効く食べ物か?ということが食材選びの重要なポイントになるようだ。「野味」と呼ばれる野生動物を食べる事が中国では根強い人気があるようであるが、これも飼われた家畜にない野生動物のワイルドなパワーを食べてしまおうということのようである。アルマジロに似たセンザンコウという動物や、イタチ似のハクビシン、クマの掌、タケネズミ、イヌ、ネコ・・・・とその対象は限りがない。最近では、野生動物保護のために中国政府によって捕獲が制限されている御禁制の野生動物も少なくは無いようだ。(=密猟者も少なくはないようだ。) 3.薬膳 今回、ちょっと後ずさりするような野生動物の肉を「野味」として食べたという訳ではないのだが、西安の日系ホテル、唐華賓館で薬膳料理を食べる機会が持てた。その際のメニューの一部と、その効能(唐華賓館説明による)を紹介しよう。 ・タツノオトシゴとアワビのスープ (滋養強壮、視力低下の回復、血糖値を下げる、目の疲労回復、老化防止) ・ハト肉とクコの実・マツの実の炒め物、レタス包み (不老長寿、視力の衰え除去、精力減退予防、糖尿病・肺結核の補養剤) ・冬虫夏草と烏骨鶏のスープ (ヒエ小改善、病後産後の回復、精神安定、癌予防、精力増進) ・ウサギ肉の炒め物、ロバの膠(にかわ)味付け (産後の貧血、生理障害・肝臓病に良い、美肌作用、糖尿病に良い) ・スッポンと高麗人参・霊芝のスープ (疲労回復、男性ホルモン増強、寿命延長、癌予防、養血・除熱作用) 4.良薬口に旨し 薬膳料理と聞くと「良薬口に苦し」で、体に効くけど不味いお料理なのではないか?と思われる方もいるだろうが、そんなことはない、どれも大変美味しいお料理であった。 ただし、タツノオトシゴそのものはそんなに旨い物ではなかった。じっくり煮込まれダシが出きっているせいか、骨張った小魚の干物のデガラシそのものであり、特に味はしなかった。 また、冬虫夏草は茸の様な歯ごたえで、これもじっくり煮込まれためか味は特に無し。もとより、そのイモムシに茸が生えているという、おぞましい外見はあまり旨そうには見えない。中国の陸上ナショナルチームがこの冬虫夏草から抽出したスペシャルドリンクを飲んでいることが一時話題になったが、生きているイモムシ体内から生え出てくる茸の凄まじい生命力にあやかりたいということなのだろう。もちろん、その化学成分も研究された結果であると思うが..。 白湯(パイタン)と呼ぶのだろうか、トンコツスープのように白濁したスープで、スッポンを目の前で煮込んでくれた。高麗人参と霊芝が入るせいか、ほんのりとスープに苦みを感じた。随分前であるが、大阪の中華料理店でスッポンのスープを食べたときは、酒を利かした透明のスープでネギ・ショウガの風味とともに頂くものだった。私の好みでは後者の方がスッポンの調理法としては秀でている様に思えた。 5.効能は? さて、薬膳料理を頂いた翌日からは、すっかり体調も良くなり、残りの旅程の仕事もバリバリと進むようになりました。メデタシ、メデタシ。 と書くとオチが付いてシメやすいのだが、薬膳料理を食べる前から体調が良く、仕事をバリバリこなしていた我々一行には、その薬効が正直なところ感じられなかった。「効能は?」ときかれたら、「美味しく食べれて気持ちが豊かになり、土産話の話題造りにもなりました。」といったところだろうか。 ※上記のリンク掲載について、御不備等ございましたらこちらまで御連絡よろしくお願い致します。速やかに対処致します。 saitamaya.net webmaster Hiroyuki Arai |