ストーリー性と誇りを持つ


とうふの喜八(大阪府守口市)代表 岩佐忠
 まず、売れないということに対して、理由付けが多すぎると思います。僻地でもよく売れてる・・・名前出してなんやけど、山下ミツさん、あの方やったら、大阪に来はったらどんだけ商売なさるんやろか思うな。でもあの方はあの方で、おばあちゃんの代からずぅーっと名刺に書いてあるようなこと(記まじめ=生真面目)を大事にしてるんじゃないか思いますね。で、僕は百円、百三十円のお豆腐に付加価値いいますか、価値を付けないから、お客さんが感動しないんじゃないかと思います。お豆腐でも豆乳でも何でもいいんですが、なるべくストーリーをつけて欲しい。また商品作りをする上で、イメージをシュミレーションして欲しい。例えば、好きな人に会いに行くときは、「この背広がいいかなぁ」とかね。これが結婚申し込むなんてときは、何でもずずーっとイメージしますやろ、どうなるかわからんけど。お豆腐作るときにも、このお豆腐作って店頭に並べるんか直接(お客さんに)渡すんかはどうあれ、お客さんが手に取ったときをとりあえずイメージして、そのときにお客さんにニコッとしてもらえるような、また食べて「美味しい」と言わせたら豆腐屋さんの勝ちやと思うし。よく棚に並べてる安い豆腐と比べられるっていうけど、ああいう安いお豆腐があるから、私たち町の豆腐屋が生き残れるんですよ。お客さんが安いお豆腐と高いお豆腐の両方を選択する場っちゅうのを僕らが作っていかなアカンと思う。それがお客さんに対する責任やと思う。それと、僕らがお豆腐で食べさせてもらってるということに対する責任ね。「お豆腐屋である!」ということに、みんな誇りを持って欲しいし。僕はたまたま初代なんですけど「(豆腐屋の)この仕事でよかった」というものをずっと持ち続けて、ストーリーをイメージする癖をつける、そしてできれば、自分の店のどこかにでも自分が目標にしていることを掲げてください。僕は「日本一の豆腐屋になる」ことと「豆腐業界にマイスター制度を確立する」ということを掲げています。そして毎日それを見ることによって、掲げたスローガンが自分を引っ張ってくれるんです。


牛w恟、店(神奈川県三浦市)代表 高梨慎一郎 さっきの「顧客満足」というところで、喜八さんでは、それをどのようなことで測ってられますか?


岩佐 そうですね。お客様に「喜八のこれを買いに行こう」と言って来ていただく、そして買っていただいたときに、お客様の期待を裏切らない。それは、例えばなるべく新鮮なものをお渡しするとか・・・もちろん、クレームに対する迅速な対応とか、そういうことを心がけてますね。


高梨 それは、社長が一人で全てできることじゃないですよね。


岩佐 僕のところも一週間に一回、みんなが集まったときに朝礼をして、それも僕がしゃべるばかりじゃなくて、順番を決めておいて交代で自分の気が付いたことを発言してもらいます。それと従業員には、「君の仕事の前にはお客様がいる≠ニいうことを頭に入れとけ」と教育してあるし、これは事務所にも掲げてあります。豆量っとっても洗い物しとってもいいんですわ。「君の前にはお客様がいとんねん」と。これが回り回ってお客様満足、ちゅうんですかね。三丁百円の豆腐でもね、百円で買って帰っても(実は一丁)三十円のものを売っとったんでは、それは(お客を)裏切っとるんです。百五十円のものを百円で売ったんなら、お客さんは満足しとるんです。でも、そこにはバランスというもんもあるでしょ?百五十円のものをいつも百円で売るわけにはいかんしね。


東田 ありがとうございます。まだこの中に、是非ともお話を聞きたい人がいるんで・・・おとうふ工房いしかわ社長、どうぞ前へ出てきてください。