棚売りの客と店頭の客の差



渡邉 それともう一点ですね、スーパー卸=スーパーの店頭と豆腐屋の店頭の決定的な違いがわかりました。それは、スーパーの豆腐売り場の前に来るお客さんには、豆腐が好きな人もいれば、ただ味噌汁に入れるだけの人もいます。スーパーの来店客で豆腐を買ってくれるお客さんは、だいたい二割程度でしょう。しかし、私の店にやってくるお客さんは全員、豆腐を買います。全員、豆腐が好きなお客さんです。だから、私が豆腐の提案をすると、みんな喜んで話も聞いてくれるし、新しい商品も食べてくれるし、試食も喜んで食べてくれます。豆腐が嫌いな人は、うちには来ません。このあたりを良く考えて仕事をすると、まだまだ町店には可能性があるんじゃないかと思います。


東田 すばらしい。ありがとうございました。ちなみに渡邉さん、都幾川村の人口は・・・八千人?で、商圏範囲は?


渡邉 そうですね、平日はやはり、東京都内からは来ませんので、だいたい二十`b圏ですかね。店の足元二十`b位離れた所に川越市や熊谷市がありますので、このあたりがターゲットですね。土日は都内からも来ますけれど。


東田 ありがとうございます。大阪で儲けている三好さん、三好さんも、八尾市の辺鄙な所、住宅街のド真ん中ですけど。


去O好商店(=河内庵三好/大阪府八尾市)社長 三好岩雄 冨田君と一緒に大分県清川村で、生産者の顔が見えて、どんな肥料を使って、どういう選別がされているかを見に行って、そこの大豆を使っていますし、北海道でも、うちで使う大豆を作ってもらっています。どこの誰が生産して、どういうルートで流れてきて、どこで封印を解かれた商品が自分のところに届くか、これが今よく言われる、生産者の顔が見えて一番安全な大豆です。これをもう、七〜八年前から使っています。これにお客さんが反応して「あそこの豆腐は安全や」で、「美味しい」ということでね。現在の店を始めて十七年になりますが、チラシもオープンのときと一周年記念のときに、八尾市内におよそ三〜四万部撒きました。でも、なかなか儲かりませんから、何とかいい方法はないかなぁと。仕事をするのは好きなんですよ、私は。朝から晩までやってたりします。豆腐が好きですからね。で、やはり差別化しないかん、ということで、七年前に華の会で経営学の講師を招きました。潟ーサイド(京都府宇治市)の久保田社長です。そこで一番インパクトを感じたのは、「雲の下には人がたくさんウヨウヨしている。しかし、その雲を抜けると競争相手はいない」という言葉でした。「これや!」と思いましたね。その雲の上に、どないかして昇っていきたいなぁと。それには自分の方向性を決めなくてはイカンのですね。安くてたくさん作ることを選ぶのか、それとも、いいものを大切に手間隙かけて、お客さんに喜んでもらう商品を作るのか・・・私は、この後者を取りました。「ま、ぼちぼちいって、いいものを作れば必ず、お客さんは認めてくれるやろ」と、自分に問いかけて、自分にも厳しく人にも厳しくです。
それと常に、お客さんの目線で自分の店を見ています。この売り方でいいのか、この商品、この並べ方でいいのか、お客さんから見た場合、このシールはどう並んでいるのかとか、見るわけです。もちろん、店の中の衛生状態もね。店の前にゴミが落ちていないか、汚いものを放ってないか・・・お客さんって、こういうことで店を決めるんですね。だから今は、土日は一日二十万円位売り上げています。それと、八尾市と隣の橿原市でだいたい三十五万人都市なんですね。八尾市には大小合わせて三十二軒の豆腐屋さんがあるんですが、今までは八尾市の中で一番になってやろうと思ってきたんですが、これが今、ほぼいけた、というところで、次は橿原市も商圏にしようということで、今年三月七日に十四万部のカラーチラシを作りました。目立つヤツをね。ここで何をポイントにしたかというと、うちの商品の価格帯の案内と年間営業日の案内、それとインターネット通販の手続きの案内です。後は商品で「おぼろ豆腐限定二百丁、通常二百五十円を二百円に!」と「丸厚揚げ限定百枚、通常百六十円を百円に!」これだけですね。この二つは、うちでは食べていただくと必ずリピートが帰ってくる商品なんです。だから敢えて限定販売したわけです。で、このとき三月ですからその夏の九月まで、冷奴の一番売れるシーズンに、昨対の三〇%アップを戦略に組み込んだわけです。三月七、八、九日の三日間での売り上げは、百万円に二万円だけ切れた九十八万円でした。その後、多少天候には左右されますが、だいたい昨対の三〇%アップで推移してきています。ですから人のシフトも変更して、日曜日は三人体制で販売するようにしました。とにかく一番に考えていることは、お客さんに食べていただいて喜んでもらう、その代わりに御代を頂戴する、ということで、手間隙かけて愛情込めて作った商品は一人歩きをする時代になってきました。スーパーに置かれている商品と、町店のがんばってる商品とは違うということをいろいろな形でアピールしていけば、皆さんのお店ももっと繁盛していくと思います。


(会場から) 渡邉さんのところは、硫カルと塩マグの比率はどれくらいですか?商品、アイテムで。


渡邉 八割方がにがりですね。うちはいちばん安いのが百十円で、これは絹ごしも木綿も複合剤です。この上は百三十円なんですが、ここからはすべてにがりです。


東田 ほとんどにがり豆腐が占めてきた、ということですね。三人の方、本当にありがとうございます。