肉はどこだ!

調査報告NO.4  
委員名  調理担当:Carlos
       コメンテーター:がじ、じんぱち、ちび、Chica(Carlos妻)
逸品名  辣子鶏  
調査報告書名 中華人民今日も喰う編 
          第4話 肉は何処だ!の巻


 北京の重慶飯店にて究極のトウガラシ料理の誉れ高い「辣子鶏」を食したときに、食べるのに夢中になり写真撮影を怠ってしまった。今回、喰いしごき調査委員会の「中華人民今日も喰う編」の第4話でこのお料理を紹介するにあたり、写真が無くてはいけないので自分で作ってその姿を紹介することにした。
 また、その味の評価については、調理人本人の評価だけでは手前味噌になってしまうので、第三者のコメンテーター(生け贄)に食べてもらうことにした。コメンテーターは、十年来の友人で現在は職場の同僚でもあるがじ氏、同じく職場の同僚のじんぱち氏とその奥様ちび氏(新婚さん)、そしてCarlosの妻であるChicaにお願いした。

トウガラシを切る手はがじさんの手トウガラシをたくさん入れて調理中これが噂の辣子鶏

材料(5人前)
乾燥トウガラシ(粗みじん切り):お好きなだけ
花椒(中国山椒、粒のまま):お好きなだけ 
鶏肉:500g
ニンニク(みじん切り):1かけ
ショウガ(みじん切り):1かけ
醤油・酒・片栗粉・サラダ油、ごま油


作り方
1.鶏肉は一口大に切り、酒・醤油少々で下味を付け、少量の片栗粉をまぶしておく。

2.サラダ油を鍋に入れ、ニンニク、ショウガのみじん切りを入れて中火にかける。

3.油が熱くなり、ニンニクとショウガの香りが出てきたら強火にし、1の鶏肉を入れ肉が色づくまで炒める。

4.トウガラシ、花椒を好きなだけ加え、ごま油を足してさらに炒める。

5.鍋肌に醤油、酒を入れて、よく混ぜ、好みの濃さに味付けをする。




調理者コメント(Carlos)
 今回はトウガラシをボールに一杯、約80g、花椒を約10g使用した。全トウガラシの2/3量はCarlosの自家栽培によるトウガラシを使用し(刻んだのは、がじ氏、じんぱち氏)、残りは中華食材として袋詰めで売られている、あらかじめ刻まれた乾燥トウガラシを使用した。
 トウガラシを中華鍋に入れ火にかけた瞬間に刺激的な臭いが台所に立ちこめた。その猛毒カプサイシンガスが台所から居間へと漂っていったとたんに、生後11ヶ月の我が娘がくしゃみを連発し始めたのには笑った(本人には悪いが..)。
 このお料理、ただトウガラシだけの味付けではなく、花椒、ショウガ、ニンニクが入っているので、味に香りと深みが出ていると思う。コメンテーター諸氏は最後まで涙と汗をたれ流しながら果敢に食べていただき、最後にはお約束のようにトウガラシの山の中に箸をつついて「肉はどこだ!」と探してまで食べきって頂いた。以下にコメンテーターの汗と涙と鼻水の結晶であるコメントを頂くことにする。

コメンテーター1(ガジ氏)
 Carlos氏お手製のトウガラシ鶏をいただきました。写真をご覧いただけばわかるとおり、見た目は派手なトウガラシ鶏ですが、一口食べた印象は、「まぁ、ちょっと辛いけどたいしたことはないな」って感じです。食べ終わった後に、少しだけ辛さの余韻が残りますが、どうってことないレベルです。しかし!!この、どうってことないレベルの辛さが、実は侮れなかったのです。二口目を食べると、「あれ?さっきよりちょっと辛いかな?」、三口目を食べると、「おい、けっこう辛いぞ!」。どうってことないと思っていた辛さの余韻が、消えることなく積み重なっていくのです。まさしく、「塵も積もれば山となる」。
 この料理ではトウガラシだけではなく、Carlos氏の書いていた花椒による「麻」が効いているようで、どんどん、口の中が痺れてきます。この痺れが、口に何かを入れないと落ち着かない気分にさせるのが、また恐ろしい!目の前にあるのは、ビールとトウガラシ鶏のみ。ビールを飲むと辛さが口の中に拡散してしまい、つい、トウガラシ鶏を一口。これで、辛さが積み重なってしまい、ビールを一口。辛さが拡散して、積み重なって、拡散して、積み重なって、さぁ、たいへん。いやぁ、恐ろしい料理です。。。もうひとつ、このトウガラシ鶏の一番の恐ろしさ、それは、この料理が「とても美味しい」ってこと。トウガラシの「辣」と花椒の「麻」がいたずらに互いの個性を主張し合うのではなく、「鶏の旨みを引き出す」という一つの目標を成し遂げるために、一致団結して素晴らしいハーモニーを奏でている。。。って、俺は海原雄山か!!まぁ、とにかく美味しいもんだから辛かろうが痺れようが、食べるのをやめられないのです。気がつけば、皿の上にはトウガラシの山。鶏は跡形も無く消え去っていたのでありました。ああ辛かった。ご馳走様。

コメンテーター2(じんぱち氏)
 Carlos氏の奥さんが調味料の買い足しに行っている間に唐芥子をハサミでひたすら切る。これはどこで買ってきたのかと聞くと自家栽培したとのこと。恐るべし、その根性。切った唐芥子を渡し、Carlos氏が調理している間にがじさんの持ってきた白ワインを空けていい気分になった頃、アイツはプンプン臭いをさせてやってきた。
 まず、一口。旨い。もう一口。やっぱり、旨い。何だ、思ったほど辛くないじゃんと思った矢先、辛さが痛さに変わる。また料理の熱さがこの痛みに追い打ちをかける。ふと周りを見ると誰もしゃべっていない。みんな口をハフハフさせながら、黙って唐芥子に埋まった肉をつついている。この味はただ辛いというのではなく、ショウガ、ニンニクなどが辛さに奥行きを出していた。まさに「麻・辣・湯」を地で行く料理だ。また食べたいので、今度は自分で作ろうかと思っている。
 ※この料理は刺激が強いので、風邪で胃腸が弱っているときは控えましょう。

コメンテーター3(ちび氏)
 まず、自家栽培したという唐芥子の大きさにちょっと驚いた。(市販のよりも太かったし)そして、準備中の山盛りの唐芥子の量にも驚き、料理に対する期待が高まっていった。「じゅわ」っと音がし、「もうすぐだ」と思っていたらどこからか刺激的な臭いがし始め、くしゃみがでて、鼻がむずむずした。が、とても良い臭い。食欲をそそる臭いだ。
そして、でてきた料理は唐芥子の山。そこから、目的のものをとって口へと運ぶ。辛い!が、おいしい。料理の熱さも加わりよりおいしさが増し、辛いと思いつつも、次々に食べてしまった。そして、辛いものを食べた時は、お約束で鼻水がでた。
 唐芥子とお肉というシンプルなみためとはうらはらに、味には奥行きがありとても美味だった。辛いもの好きな人には、おすすめな一品。「また、つぎも!」とつい思ってしまい、やみつきまちがいなし。

コメンテーター4(Chica(Carlos妻))
 夫が「何とも美味しいトウガラシ料理を中国で発見した!作って進ぜよう。」と言いだし、食卓にゴン!と一つのお皿が置かれた。見ると、「真っ赤っかぁ〜」な物がてんこ盛り。「どれどれ」と箸でお皿を探ると、美味しそうな鶏肉が出てくる。一口食べて、「おぉ〜これは美味しい!」二口食べて「んっ?何か辛い!」三口食べて「おぉ〜辛い!!」その後は・・・ひたすら辛い! 音に例えると、「ゴォ〜!!」って口の中で中華料理屋厨房のコークスの炎が燃えているような音。でも、これが何とも美味しい。ただ辛いだけではこんなに感動はないが、ちゃんと鶏肉の旨味が引き出されていて、ポイントの山椒もピリッと効いていて、これはもう「♪やめられないとまらない、辣子鶏♪」と言った具合。
 最後は一緒に食べた全員が各自の箸で「肉は何処だぁ〜!肉ぅ〜!!」と言いながら、すっかり「辣子鶏」の虜になってしまったのであった・・・。


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